壊滅の序曲(原民喜)

「夏の花」に収められている、原民喜の作品。 これは原爆投下前、市井の人々が疎開やら避難の準備やらに忙しい日常を描いています。 主人公は四人兄妹の三男で、妹がいます。 兄妹がそれぞれの家庭を持ちながらも、家族として助け合ったりいがみ合ったりしながら空襲の難を避けようとする暮らしが淡々とつづられます。 妹の望みは「母の形見となった鏡台」を疎開させることであり、主人公の望みは避難の際に背負うルック…

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