マスクと黒板(濱野京子)

コロナ禍、その1年目の終わりに書かれた作品です。描かれている世界では、まだ感染者数が数十人という単位。第六波を経験した目でみると、人数の上では「たいしたことがない」ように見えますが、未知のウイルスに対する不安感はずっと大きく、パニック気味の人も少なくなかった。 主人公の立花輝は、その華のある名前とは反対の地味なタイプ。美術部に所属しているものの、特別に絵が上手なわけでもなく目立たな…

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