バレットジャーナルの雑誌広告を妄想してみました

オフィスにて、若いビジネスパーソンである縞工作が上司に報告書を提出している。
やや出っ歯でイヤミな顔つきの上司は、縞工作の報告書を一瞥するなりデスクに放り出した。
「こんなんじゃわからないよ、もっと要点を整理してくれたまえ。箇条書きでいいからさ」

縞工作は奥歯を噛みしめて堪えながら思った。
(この前、箇条書きのレポートを出したら「説明が足りない」っていうから細かく書いたのに…)
しかしビジネスパーソンたるもの、上司に反抗はできないものだ。
「もうしわけございません、書き直します」
表面上はかしこまった風をとりつくろって答えた。

その夜、縞工作はバーのカウンターでひとり愚痴をこぼしていた。
「ちぇ、箇条書きって何なんだよ」

「あら、箇条書きはお嫌いかしら」
隣の席でノートに何か書きつけていたショートヘアの美女が微笑んで言った。
「あ、別に。すいません、ひとりごとで」
縞工作は焦って答えた。しかし目ざとい縞工作のことだ、彼女が手にしていたノートを見逃しはしなかった。
「お仕事ですか?」
「ああ、これ?」美女はノートを軽く持ち上げて見せた。
「仕事のこともプライベートのことも、これ一冊に書き込んでいます。書き込むのは簡単に箇条書きで。箇条書きの頭に印をつけて、管理するのが肝心ですのよ、バレットジャーナルっていうんですけどね」
「そのノートがバレットジャーナルノートなんですか?」縞工作はノートを指さして尋ねた。ただし視線は美女の表情にくぎ付けだった。バレットジャーナルとかいうノートについて、実に楽しそうに生き生きと話している。こういう女性(ひと)は初めてだ、と思っていた。

「バレットジャーナルっていうのは」
美女は脚を組み替えて、縞工作のほうに向きなおった。
「そういうノートがあるんじゃありません。ほぼ日手帳みたいに、そういう製品が売ってるワケじゃないの。それぞれが好きなノートや手帳を使ってバレットジャーナルのメソッドを実践していくのよ」
「へえ、そいつは面白そうですね」縞工作は身を乗り出した。当然のように視線は美女の膝に注がれていた。

「バレットジャーナルはいくつかの書籍も出ているし、ウェブにもたくさんの情報があります。ご自分の好みにあったやりかたから始めればいいんだけど、どうすればいいのか迷っている人も多いわね、特に手帳術やノート術の経験がない人たちだと」
「て、手帳術? ノート術? そんな術があるのか? 忍術の一種か?」
縞工作は茫然とした。ベッドの上で使う以外の「術」があるとは考えたこともなかったのだ。

「でも安心して、実は私も今度、本を出すの。テキストはバインダー式で使いやすくて、お手本にするサンプルページや書くのが楽しくなる字体やイラストのサンプルも満載。講師陣もベテランのバレットジャーナルユーザーだから、手帳術やノート術に関心がなかった人でも安心してはじめられるのよ」
ショートカットの美女が、いつの間にか黒髪おかっぱ風の前髪ぱっつんの女の子に見えてきた。
「あれ? 飲みすぎたかな?」
縞工作はいつものように、見知らぬ場所で目を覚ますのであろう…。

報告書はどうなった?

この記事へのコメント

  • 出ちゃっ太さん、どうもです。
    弘兼ワールドを展開しつつ、
    そのまま日ペンの美子ちゃんへ
    つないでいくテク、感服しました。
    さすがプロの腕ですな(笑)
    ところで冗談抜きで、バレットジャーナルの
    通信教育とかって、結構アリかも。
    それかデアゴスティーニみたいな
    やつとか。創刊号は豪華バインダーつきで
    399円!なんて(笑)
    2019年05月27日 20:58
  • おなら出ちゃっ太

    海 さん>>
    コメントありがとうございます。
    バレットジャーナルの通信教育、これは始めたもんの勝ちですね。
    デアゴスティーニみたいにすると、
    創刊号には「インスタ映えするレタリングテンプレート付き」とか。

    海さん、いかがですか?
    お勤め先の新規事業としては?
    それこそ上司(出っ歯)に、
    「なんやそれ?」とか言われてムシャクシャして、
    バーでバレットの美子ちゃんに…
    2019年05月28日 19:08

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