その女の子は朝の街角で号泣していた

ある朝、会社に出勤する途中、女の子が号泣する声が聞こえました。
「いやだ~、ママといっしょがいい~、バイバイするのいやだ~」
女の子は、たぶん幼稚園の年長さんくらいの年頃。かなり力が入った鳴き声で、何十台もの自動車が行きかう交差点の向こうからハッキリと聞こえてきました。

母親らしき女性に手を引かれて、小さなリュックサックを背負っているのは保育園に向かう途中なのでしょう。幼稚園ではなく、保育園の年長さん、なのかな。
保育園につけば、ママと「バイバイ」しておそらくは夕方まで離ればなれ。それがイヤでイヤでたまらなくて泣いていたのでしょうね。たぶん毎日泣いているのではなく、たまたまその日は寂しい気分だったのでしょう。

母親は疲れたような切ないような顔をして無言で娘の手を引いて歩いていました。
その胸中を察することはできません。
「ママだって離れたくないのよ」と思っているのか、「今日は機嫌が悪いなー」と考えているのか。
あるいは娘の号泣は耳に入らず「今日の打合せではアイツにガツンと言ってやるんだ!」と、早くも仕事モードなのか。

まあいずれにせよ、「ママといっしょがいい!」と泣き叫ぶのも今のうちだけです。
「ママうざい」といって家族より友達が大事だと錯覚し始めるのに十年もかかりませんよ。

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