書斎の話(ゴージャスVS清貧)

いつもコメントをくださる海さんのブログ記事で、ネットカフェ難民という社会的なテーマを取り扱った本の紹介がありました。ところが記事の終盤、飛行機のファーストクラスの個室とか高級カプセルホテルの話柄につなげてくれます。ごくごく自然に、ご自身の趣味である書斎ネタにつなげていくところは名人芸の風格すら感じるところです。

記事ではグラジュアリーでゴージャスな画像が紹介されています。
こうした個室を単体で売り出せば、けっこう売れるんじゃないかな、という気もします。
まあ価格設定とか工事の要不要にもよると思いますけれども。

そして、ゴージャス&グラジュアリーなセットばかりでなく、貧乏臭くてこじんまりとしたセットもいいと思う。
例えば、つげ義春が描くような世界。「石を売る」や「無能の人」に出てくる「石屋」の店舗。まあ店舗というよりは掘立小屋です。助川助三を主人公とするシリーズの別の作品では「草庵」と風流な呼び方をしていますが、どうみても掘立小屋。
貧乏くさいことこの上ありませんが、清貧を尊ぶ人には、こういう書斎もいいかもしれませんよ。
快適とは言えないかもしれませんが、なぜか居心地がよさそうに思えます。
冬は暮らせませんけど。

草庵とまでいかず、もう少し小さくて実用的な清貧の書斎なら、同シリーズの「カメラを売る」に出てくるミニ書斎もおすすめです。書斎といっても、背の低い本棚で仕切った半畳ほどのスペースに、小さなすわり机を置いただけ。
よくある書斎スペースの作り方のお手本のような作りですが、そのコンパクトさ、ささやかさに幸せを感じます。

石屋の店舗の画像は載せませんので、興味のある方は検索してみてください。
「つげ 石を売る」などのキーワードで、みすぼらしいけど妙に居心地がよさそうな掘立小屋が見つかりますよ。

この記事へのコメント

  • 出ちゃっ太さん、どうもです。
    お褒めいただき、恐縮です(汗)
    ただ、作文に小気味よく小ネタを
    絡めていく出ちゃっ太さんの玄人芸に比べれば
    私なんて名人芸といってもアマチュアの域ですので(笑)

    ところで、つげ先生の作品は私も大好きでして
    石屋、カメラ屋がらみの作品は今も何度も
    読み返してます。
    そういえば、本やガラクタに囲まれて半畳ほどの
    スペースの自宅で店を営業してる先輩に、主人公は
    憧れたりしてましたね。
    自分にとって居心地の良い空間だったら
    どこだっていいのかもしれません。
    藤子不二雄の両先生が上京した時の
    最初の下宿部屋は二畳(!)でしたからね(笑)
    2019年11月11日 21:44
  • おなら出ちゃっ太

    海 さん>>
    コメントありがとうございます。
    やはりカメラネタのあたりがお好みでしたか。確かにあれを読むと、自分でもカメラを分解修理してみたくなりますね。もちろん今どきのデジタルカメラでは手に負えませんが。
    自宅で骨董屋を営み、自分自身も骨とう品のように老いさらばえていくというコマがなんとも抒情的で人間味があって。ある意味では理想的な朽ち果て方かもしれません。

    それと藤子先生たちの最初の下宿、そうそう、まんが道で紹介されていた通り衝撃の二畳間でした。
    小柄なA先生と痩身のF先生だったからよかったものの。
    それにしても、いくら昔とはいえ、二畳間に二人も押し込むって!
    本当に「あんこが出」ます。
    2019年11月12日 19:39

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