あおり運転されたことがある

最近、ようやく「あおり運転」のニュースが減ってきましたね。かといって「あおり運転」が根絶されたワケでもなく、「あおり運転」をする悪質なドライバーが絶滅したワケでもないでしょう。ニュースとして飽きられただけ。

ハンサムで上品な中年紳士も「あおり運転」をされたことがあります。
まだ20代半ばのころです。社用車で札幌郊外を走っていると、突如として後ろのトラックがクラクションを鳴らしつつ、エンジンのうなりをあげて追い上げてきました。
スピルバーグの「激突!」を思い出し、背筋に恐怖感が走りました。
と、同時に、どこかで冷めた自分が「いったい何事だべか」と考えてもいました。
ともあれ、車をできる限り左側に寄せてトラックをやり過ごそうとしたのです。
トコロガシカシ。ハンサムで上品な青年サラリーマンが運転するトヨタコロナの前に、大型トラックの車体が斜めに停まりました。道をふさぐつもりですな。まもなく運転手がトラックから降りてきました。
運転に自信があるなら、Uターンして引き返すなりしてトラックをまくこともできるし、運転手を跳ね飛ばして逃げることもできたでしょう。跳ねちゃあ、まずいか。

アレヨアレヨ、と思う間もなく、トラックの運転手がハンサムで上品な青年サラリーマンが運転するトヨタコロナのドアの窓をたたきました。そこでついうっかり、窓を開けてしまったのです!

「てめえ、降りろ!」
トラック運転手は怒号をあげながら、ハンサムで上品な青年サラリーマンが運転するトヨタコロナのキーに手を伸ばして、さっと引き抜いてしまったのです。あげくにトラック運転手はトラックに戻り、走り去っていきました。
おいおい、キー返せよ。

と思っていると100メートルほど離れたところでトラックは停車。そこで運転手は再びトラックを降りて、ハンサムで上品な青年サラリーマンを待っている風情でした。

ハンサムで上品な青年サラリーマンの運命やいかに?

車道を小走りにそこまで行くと、トラック運転手が罵声をあびせてきました。
要するに、ハンサムで上品な青年サラリーマンが危ない運転をした、というのです。

まったく意識していなかったのですが、無理な追い越しでもしたのでしょうか。
当時から運転は下手でしたし、周囲への気配りもなく注意力も散漫だったので、あるいは危ない運転をしたのかもしれません。あるいはトラック運転手の一方的な言いがかりかもしれません。俺を追い越すなんて生意気だ、とかありそうだし。

まあいずれにせよ、反論しても議論しても提灯貼っても話が通じそうにな相手だと思えませんでした。なので怒るだけ怒らせておいて、こちらは頭をさげていました。そうやっていれば、頭の上を通り過ぎていくだろうし。まさか手は出さないだろうし。

罵詈雑言は十分も続いたでしょうか。疲れたのか飽きたのか、ひたすら恭順するように頭をさげる相手に張り合いを感じなかったのか、
「これから気をつけろ」という捨て台詞とともに、トヨタコロナのキーを路上に投げ捨てました。

キーを拾って社用車に戻ると、後ろから来る車両が徐行でよけながら、憐みとも好奇心とも蔑みともとれる目で見ていました。
この時は、ちょっとばかりみじめな気分でしたね。頭をさげているときは、みじめとか感じるゆとりがなかったのかしら?

まあ大事にならなくてよかったのですが、そこはまだ若い男性です。
窓を閉めたトヨタコロナを走らせながら、
「クソおやじ!バカヤロー、事故って死にやがれ!」と絶叫し続け、会社に戻るころには喉が痛くなってました。ところで腹が立ったのは、トラック運転手の行為もそうですが、後続車の運転手たちに見られた恥ずかしさもある気がする。恬淡とした性格のつもりでしたが、一応、恥も外聞も見栄もあったらしい。

あの日の「あおり運転」による最大の被害は、喉を傷めたことですな。

この記事へのコメント

  • たけちゃん

    おならさん、こんにちは。
    トラックの運転手怖いですねー
    私も同じような経験があります。
    私の車を追い抜いて、道路に斜めに停めて道をふさがれました。
    そして、トラックの運転手が降りて来て、私の車へ猛ダッシュ
    してくるではありませんか!
    私は怖くなって、慌ててUターンをしてなんとか逃げ切りました。
    あれは確か、新婚旅行の前日だったなぁ~
    2019年11月14日 14:38
  • おなら出ちゃっ太

    たけちゃん さん>>
    コメントありがとうございます。

    ハンドルを切って脱兎のごとく走り出したシーンが目に浮かぶようです。
    新婚旅行の前日で、自動車の屋根にハートマークが漂っていたのにやっかまれたのかしら?
    クワバラクワバラ!
    2019年11月14日 23:18

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