おろち(楳図かずお)コンビニコミックス

子どものころ、楳図かずおの漫画をずいぶん読みました。
その中で、「おろち」は心に残っている作品です。
もっとも連載ではなく、単行本で読んだのだと思います。
その分、ストーリーを通して繰り返して読むことで、印象を深く心に刻んだのでしょう。

細密な絵、奇抜なストーリー、そして怖い話。間違いなく子どもを震え上がらせます。
とは言い条、大人になって読み返すと、けっこう突っ込みどころが満載ではあります。

その上で、細かいことはさておき一気に読めるのが作者の力量なのでしょう。

当時は、おろちの能力など詳しいことはわからずに読んでいました。
何の説明もなく、指をさすだけでいろいろなことができてしまう。

今どきの漫画なら、必ずわきに説明役がいて、
「今、指をさすだけで矢が急所に刺さるのを防いだ!、なんというパワーだ」と驚いたり、
「さすがのおろちも、右手を深く傷つけてしまっては能力が十分に発揮できないらしい」と説明してくれるところです。

ですが、当時の漫画は一切そういうことはなし。
それでわかってしまうのだから、楳図かずお、恐るべし!
怖いのはホラーなお話ではなく作者の力量だというオチです。

最後にどうしても突っ込みを書かずにいられなかったトコロをご紹介します。
「姉妹」という話では、美しい姉妹が暮らす家におろちがお手伝いさんとして潜り込みます。

おろちは、「美しい姉妹だわ」というものの、あなたこそ美少女です!
さて、その美人姉妹は16歳と17歳という設定。18歳になると醜くなるという呪われた血筋の家、というおハナシ。
しかしこの姉妹、どうみても16歳と17歳には見えない!
若く見ても26歳と27歳、今どきならば30代でもおかしくない!
当時は今よりも若い人が早く大人っぽくなる傾向があったとは言え、いくらなんでも大人っぽ過ぎる!

おそらく当時の読者層が10代の少年、せいぜい20代前半の青年だとすると、「16歳と17歳」にしておかないと読者の共感が得られなかったのでしょう。
20代後半や、ましてや30代では醜くなるも何も……。いやいや、当時の青少年の興味のアウト・オブ・眼中という意味ですよ。

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