札幌市の甘木小路に、ちょっと面白い名前の時計屋さんがあります。
「よし時計店」、といいます。「よし」は、たぶん「芳」か「葦」の字でしょう。
それのどこが面白いのか、と訝しむ方は、日頃からあまり冗談を言ったりしない方でしょうね。あたしみたいに、日頃から口を開けば地口やシャレばかりが飛び出してくるような人間は、どうも余計なことが気になっちゃう。
「旦那、お店の時計が壊れちゃったんで、新しいのを買おうと思うんです」
「ああ、買ったらいいさ。どこで買うんだい?」
「ええ、商店街のよしみで、あすこんとこの時計屋で買おうかと」
「あすこんとこ? はて? いったい、どこだい?」
「ほら、商店街の角から二つ目の。柱時計の看板がかかっている店です」
「ああ、あすこは、よし時計店っていうんだ」
「え? なんです?」
「だから、あの店は、よし時計店って(よしとけって)んだよ」
「そうですか、旦那がそうおっしゃるんでしたら、やめときます」
「その名を九郎判官義経」
なんて会話が、甘木小路であったかどうか。
あたしゃ、しりませんけれども。
この記事へのコメント
田舎おじさん
本日の投稿、狸小路の「吉村時計店」のことですね。
実は先日、私は「吉村時計店」を利用したのですよ。
というのも、私の時計が電池切れしたのですが、その時計の電池交換には本社工場まで送るために3週間もかかってしまうのです。
そこでもう5~6年も使用していなかった昔の時計を取り出して急場しのぎに電池交換をしようと思った時に、安価な電池交換できるところを探していたところ「吉村時計店」が600円で交換できることが分かり、行ってきました。
私は「吉村時計店」と思って狸小路に向かったのですが、そこには「YOSHI TOKEI」と看板がかかっていたのです。「あれっ?」と思いながら店に入って、気難しそうな店主に「吉村時計店ですよね」と確認したところ、間違いなく「吉村時計店」でした。サービス精神の欠片も感じられない店主の接客と「YOSHI TOKEI」のことで強く記憶に残っていたので、本日の投稿を拝見してすぐにその店だと直感した次第です。
「時計直すのヨシトケイ」とは、落語好きのしろまめさんらしい発想ですなぁ…。
しろまめ
コメントありがとうございます。
コメントの内容に驚きのあまり、ご返信の手が動きませんでした!(大げさ)
偶然って、あるもんなんですねえ……。
最近、田舎おじさん様が愛読している小説家と同じ姓なのに、愛想のない店主でお気の毒でした。
本当に、「(あの店は)よしとけ」だったんですね。
「吉村時計店」を「YoshiTokei」と略したのは、愛想のない店主なりのシャレだったのかな……。
全国津々浦々で、「ヤマダさん」が「ヤマ」ちゃんと呼ばれているのにならったとか。
ちがうかな。ローマ字にしたら文字数が多くて、「YOSHI」だけでよしといたのかしら?