定価1,800円ですが、存命の作者ではないということでブックオフで購入、600円でした。なんだか申し訳ないような安さです。
ちなみに、この12巻だけが安くて、ほかの巻は1,000円以上の値段がついていました。この辺りの値付けの機微や価格相場観については、いつもコメントをくださる海さんのブログ記事「ブックオフに来てはいけない人」で店員さんが解説してくださっています。
さて、いまさらのように大全集でドラえもんを買ったのは、藤子Fノートさんの影響です。ドラえもんを始めとした、F先生のマンガ作品の考察をたくさんかいていらっしゃる方です。その記事を読んで、興味を持ったマンガについては、最寄りのブックオフで原典を立ち読みしたりしてます。
そんなことを繰り返しているうちに、ドラえもんの面白さに目覚めてしまったんですね、いまさらですが。
元々は、ドラえもんよりはオバケのQ太郎のほうが好きでした。しかし圧倒的にエピソード数の多いドラえもんは、その分だけ傑作も多いようです。オバQも面白いのですが、ドラえもんには一種の自由さがあるような気もします。なんというか、F先生の円熟期というのでしょうか。
オバQのほうが好きだった理由のひとつに、日常感覚や身近な肌感覚がありました。例えば、オバQでお城を作るとなると、原っぱに放置された木箱をもらって、それを重ねて行く。そこに雪が降れば、雪のお城になったりして。水族館を作るエピソードでは、空き箱にガラス板をとりつけてロウで防水するなど、リアルな工作が紹介されていたりして、ワクワクしたものです。
それがドラえもんとなると、ポケットから出てきた道具で簡単にお城を作ったり、海を切り取って水族館を作ったりしちゃいますからね。そうした便利さというか、安直さが好きではなかったんですよ。
しかし、原っぱに木箱が放置されたることもなく、ガラス板をロウ付けして水槽を作ることもない今の時代にあっては、ドラえもんが出す便利な道具と、その使い方を誤ったために引き起こされる事件がとても面白く感じられます。
そして大全集のドラえもんは、学年繰り上がり方式として編集されているところも面白い点です。小学1年生向けの内容から、学年があがるごとに表現や題材が少しずつ変わっていくところも注目です。
そういうわけで、思い切って(と言っても600円だけど)買っちゃいましたよ。
12巻は1972年度生まれ(1979年度入学)の小学生が読んだドラえもん。ぼくよりも10歳下の人は、学年誌でこんなドラえもんを読んでいたのか、とは思わず、自分が高校生のころのドラえもんか、と思います。
いやあ、面白いなあ。「ひさしぶりトランク」とか「天突き地蔵」とか、声出して笑っちゃいましたよ。
そうそう、「ほんわかキャップ」もラストで爆笑してしまいました。
このオチは落語の「らくだ」が元ネタでしょうか。ジャイアンが女言葉で泣き上戸というのも笑いに燃料を投下してくれます。
この記事へのコメント
海
ついに大全集に手を出されましたか!
私も気にはなってるんですよね。
少しずつ買い足していこうかな?なんて感じで
何度か手にかけた事があります。
踏みとどまってる理由として
「コンプリート」にこだわって、欲しい巻を
結局Amazonとかで買い足していく予感がします。
私の場合は(笑)
とりあえず「エスパー魔美」から揃えていこうかな?(笑)
しろまめ
コメントありがとうございます。
いや~、一年生向けも半年分くらいは絵本っぽい展開ですが、後半は普通の漫画のテンポです。
二年生向けとなると、もう一般の漫画と変わりありません。
そして小学校を卒業する六年生3月号では、これからも頑張るぞ、しっかりするぞ的なエールな作品で締めるという黄金パターンみたいですね。
1972年生まれ向け、ということは、まさに海さん世代かしら?
ぼくはコンプリート欲はないので、面白そうな巻や、よく知らないお話の多い巻を選んで買い集めるかもしれません。
そして、このお話は~みたいな分析も始めるかも。