年の離れた従兄弟のMさんはホラ吹きだったかもしれない

以前、年の離れた従兄弟の武勇伝について書きましたが、少し追記しておきます。なぜなら、当人が息子さんたちにブログ記事を紹介してくれたようなので。

バラされちゃ困ることも書いてしまう、かもしれない。

13歳年上の従兄弟のMさんは、ぼくと遊んでくれることもありましたが、ぼくの兄と行動をともにすることが多かったです。兄はぼくより8歳年上なので、Mさんと兄とでは5歳差。従兄弟の年齢差としては、ちょうどよいくらいでしょう。13歳も離れると、従兄弟というよりも若いおじと感じるくらいですから。

さて、Mさんと兄ですが、前回も記事にした田舎町で滝に遊びに行ったことがあるようです。田舎町は滝上町といい、北海道紋別郡にあります。文字通り、滝の上流にある町です。

Mさんと兄は、町の名の由来となった滝の裏側を探検しに行ったらしいです。川岸から岩場を伝って滝に近づき、岩壁に背中をピッタリとくっつけて、体を横にして這うようにして滝の裏側に迫っていった、と臨場感あふれる話をしてくれたのを覚えています。

話を聞いているうちに、水飛沫で濡れた岩壁に背中で張り付くようにして、ジワリジワリと滝に迫っていく二人の姿がありありと目に浮かんだものです。

Mさんは当時から口がうまくてホラ吹きで話が上手だったのですね。

ほかにも、川のところどころが深い青色に見えて、そこは深くえぐれているのわかったとかスリリング極まりない冒険談を繰り出してくるので、ぼくの母親などは元来が心配性なせいか「そんな危ないところに行って」とヒステリックに怒ってました。

Mさんは、「滝の裏にきれいなクモがいた」と教えてくれました。ぼくはそれを聞いて、なんとなくジョロウグモを連想していたのですが(小さい頃はクモが嫌いだったけど虫好きだったので多少の知識はあった)、北海道にジョロウグモはいませんね。オニグモ類で言えば、キバナオニグモかアカオニグモでもいたのでしょうか。

しかしオニグモ類にしても、滝の裏面に巣を作っていたとは考えにくいんですよね。滝の水飛沫で濡れた岩場には糸を貼る足場もないし、そんなところに巣を作っても餌になる虫も飛んでこないでしょう。

そう考えると、滝の裏にいたきれいなクモ、というのはMさんのウソではないか。ウソというと言葉が悪いな、話を聞かせている相手を楽しませようとするホラだったのか。創作と言ってもいいか。滝の裏にきれいなクモいただなんて、物語性もあるし。

数年後のことですが、ぼくたち一家が寿都という海に近い田舎町に住んでいるころ、Mさんが遊びに来たことがあります。その際、Mさんは海に潜り、ぼくたちが立っている浅瀬の岩場は、下が大きくえぐれていると言ったことがあります。このとき、足元の岩が崩れそうな気がして怖かった。Mさんのホラの狙い通り、ということだったのかな。

だって後年、寿都の海岸と似たような条件の岩場で潜ったことがありますが、水面下で大きくえぐれているような光景にはお目にかからなかったから。

まあ、そういうたわいもないホラ話をしては年少の従兄弟を楽しませたり、怖がらせたりするような罪のない人だったんですよ。


この記事へのコメント