レット・イット・ビー(LET IT BE)のDVDを買いました

ビートルズの映画は、三本とも一度は観たはずなんです。中学生のころ(40数年前だ)、今は亡き兄に連れられて、旭川の映画館でリバイバル上映されたのを観たのです。

それをもう一度、ことによったら何度も見直したくて、DVDを買っちゃいました。

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今回、改めてレット・イット・ビー(LET IT BE)を観て、当時のぼくが退屈しなかったのかと疑問に思います。ビートルズ好きならともかく、一般的な観客にとってはやや単調で退屈かも知れません。

もちろん、ビートルズに興味があれば若くて元気で疲れた様子ではあるけども、セッションを繰り返す4人を姿を見るだけでも価値のある一枚ですね。

さて4人の姿はいいのですが、ジョン・レノンのそばにぴったりと貼り付くようにしている黒い影は邪魔だな。誰あろう、あの女性なのですが。ぼくは嫌いだ。

いつもべったり一緒のふたりを見ていると、学生時代に見かけたカップルを思い出します。大学生のカップルなんていうものは、授業の取り方を合わせれば一日中一緒に行動できますからね。特に学部や学科が一緒だと。ましてや文系だとゼミまで一緒だったりして。おまけにサークルも同じで、もう朝から晩までずーっとくっついてひっついている二人、という鬱陶しいのがたまにいました。

別に自分に彼女がいなかったから嫉妬しているのではありませんが(多少はあるかも知れないけど)、オールウェイズべったり一緒、という様は見苦しかった。ましてやサークル内で他の部員の目もはばからず二人だけの世界で「うふふふ」、「ウフフフ」、なんてやられると困るんだ。

そんなの本人たちの自由で勝手じゃないか、というかもしれませんが、そうはいかないもんなんですよ。仮に恋愛抜きの仲良しというだけだったとしてもですよ。ふたりだけで、コソコソこそこそとしていたら、周りの人はたいてい気分がよくないでしょう。人前で耳打ちとか内緒話をするのは行儀がよくない、それと同じです。

話はちょっとずれますが、「サークルクラッシャー」という人がいるそうです。特に女性に多いらしいですが、大学などのサークル内で複数の男性と交際して、男性同士のもめ事を起こしてサークル活動が立ちゆかないほどに人間関係を破壊してしまうのですね。

あの女性は、そこまでのことはしなかったでしょう、さすがに。

しかし映画を観る限り、あたりかまわず二人だけの世界に耽溺し、結局はビートルズの人間関係を破壊する一翼を担ったとしか思えません。

ところで、ラストのルーフトップコンサートの場面、ぼくは思い違いをしていました。ぼくの記憶では、駆けつけた警察官(髭を蓄えた年配の厳ついの)が非常階段を上って屋上にやってきて高圧的に演奏をやめさせようとする。それに対してジョンがアンプのボリュームをあげて反抗する、という風に覚えていたんですよ。

ところが今回、改めて映画を観てみると、警察官たちは三々五々に集まって来て、どうしたものか途方に暮れている様子が長々と映されていました。
屋上にやって来た警官は非常階段も使わず、しかも若い警官で高圧的に止めるどころか、ぼーっとした感じで、むしろどっちかというと4人のサインが欲しいんじゃないか、という風でもありました。アンプのボリュームをあげるのもジョンではなくジョージで、それもスタッフが下げたのを元に戻す、という程度に見えました。

いやあ、記憶ってあてになりませんね。たぶん実際に観た映画が、友だちか誰かが話していたのを聞いたもので上書きされていたみたいです。

さて、1時間20分のこの映画、正面から写っているのはほとんどがポール・マッカートニーです。ポールが言い出した映画だからでしょう。ジョン・レノンは、やや斜に構えた映り具合で、会話もやや噛み合わないですね。

ジョージ・ハリソンは終始カメラから目線を外しているし、トゥー・オブ・アース(Two Of Us)の演奏シーンでは完全に顔を背けていたし。ギターの弾き方について、ポールからあれこれ言われているシーンは、観ていて辛いほどでしたよ。それだけに、ルーフトップコンサートでは活き活きと楽しそうにしているのが救いでした。

リンゴ・スターも、終始悲しげな表情でドラムを叩いていましたね。ビートルズが分裂することが分かって観ているからかもしれませんが、「どうして、こうなってしまったんだろう」と言いたげで。

しかしメンバー同士の関係がこじれても、影のような女性が貼り付いていても、セッションすれば素晴らしい音楽が溢れ出してくるのは驚きを通り越して、奇跡を目の当たりにした気分であります。

はぁ~、買ってよかった!





この記事へのコメント

  • しろまめさん、どうもです。
    私はビートルズが大好きなのですが
    恥ずかしながら映画は何一つ観ておりません(笑)
    レット・イット・ビーは、なかなか重苦しい
    イメージがあるので私にはハードルが高いかな?
    手始めに、イエロー・サブマリンあたりに
    しておきましょうかね(笑)
    ちなみに、ぴったりとジョンに寄り添う女性は
    私も好きではありませんでした。
    ただ、何かのインタビューで、その女性が、
    「ジョンは私にたくさん、愛してると言ってくれました。
     私もジョンにたくさん、愛してると言ってあげれば
     よかった・・・」なんて感じで語ってまして
    不覚にも目頭が熱くなった覚えがあります。
    2023年03月09日 20:13
  • しろまめ

    海 さん>>
    コメントありがとうございます。

    ぜひ、一度でもご覧ください!
    確かに全体の雰囲気は重いですが、ループ・トップ・コンサートは素晴らしいです。
    あんなに険悪なムードなのに、演奏される音楽は最高なんですよ。
    プロフェッショナルというのか、演っている間はすべてが音楽だというのか。

    楽しいものがお好みなら、イエローよりは「ヘルプ!」のほうが面白いかも。
    もちろん「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」もいいですよ!

    目頭は熱くなりませんが、彼女も日本人だったんですね。
    面と向かっては、なかなか「愛している」なんて言えない奥ゆかしさ……、なのかどうか知りませんが。

    相手にいいだけ言わせておいて、自分だけがいい気分になっていた、なんて考えるのは意地が悪すぎますね。
    うん、ぼくは性格が悪いんです!
    2023年03月10日 17:31