映画「帰ってきたヒットラー」を観ました

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Amazonプライムビデオで、「帰ってきたヒットラー」をレンタルして観ました。前から観たかった映画なんですが、204円というただみたいな低価格で視聴がかない嬉しいです。

本も読んだ記憶がありますが、詳細は覚えていません。
冒頭、ヒットラーがガソリン臭い服で現代に蘇るところと、テレビタレントになって制作会社の社員を「ゼンゼンブリンクッ!」と叱責するところは覚えていたのですが、結末すら覚えてなくて。

そのゼンゼンブリンク、映画ではテレビ局の副局長として自身の出世だけを考えております。だから、制作部門にいたザヴァツキを簡単に一方的に解雇したりもする。

そして現代に蘇ったヒットラーを見いだして、テレビタレントとして売り出そうとしたのがザヴァツキです。
しかしヒットラーは、持ち前の高い知性で戦後の歴史と現代の状況を理解し、人間に対する鋭い観察力と洞察力で周囲の人間を見抜き、思うがままに操っていきます。そして、たちまち人気者になり、しまいには民主主義の英雄とまで称されます。

そんな冗談のように恐ろしい人物の正体を見抜いたのは、ホロコーストを生き延びた老婆でした。老婆はヒットラーをひと目見て本物だと直感し、歴史が繰り返されようとしていることに気づき、「あのときと同じだ」嘆きます。それを見たザヴァツキは、自分がヒットラーを売り出したことに恐ろしさを感じ、物語はそれを転機に急展開します。しかしここで、映画と映画の中で作られている映画のストーリーが交錯するという見事な演出に観客は、あっと言わされるでしょう。

ホロコーストを生き延びた老婆が叫んだ「あのときと同じだ!」は、まさに正鵠を射た言葉でした。映画の完成を祝うデモンストレーションとしてオープンカーで街を走るヒットラーは、密かに「機は熟した」とつぶやきます。映像には現実の世界で起きている社会の分断や移民への憎悪があぶり出されるニュース映像がオーバーラップして、近い将来への不安を掻き立てるのでした。

ちなみにヒットラーを扱った映画ではお約束のように模倣される、例の場面「……以下の者は残れ」もありますよ。


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