今回取り上げるのは、「ROOM・No.909」です。
ホテルのバルコニーから、600メートル離れたターゲットを狙います。いつものように見事に命中させたゴルゴ13ですが、バルコニーにいた猫が銃声に驚いて跳びはね、それに反応してライフルを操作して次弾を装填してしまう。当然、薬室にあったカートリッジ(薬莢)は排莢され、しかも間の悪いことにバルコニーで跳ねて曲線を描いて路上に落下してしまう。
それを拾った男が、たまたま薬物の常習犯で、たまたま通りかかっった警官に職務質問を受け、このできごとが回り回ってゴルゴ13のところに返ってくる。
いっぽう、ゴルゴ13による狙撃事件の捜査を開始した刑事は、犯人がどこから狙撃したのかが分からない。何しろ、現場になった部屋に面したビルには、こちらを向いた窓も非常口もないときている。
そこへ、さきほどのカートリッジの件で警官から情報が入り、刑事はゴルゴ13と対峙することになるのですが……。
刑事が問い詰めて来ても、平然かつ理路整然と答えるゴルゴ13はさすがですな。
このエピソードでもうひとつ記憶に残っているのが、被害者の秘書の証言です。
狙撃の瞬間に耳にしたと思われる音を、「レコードを踏みつけたような」と表現しているのです。
ゴルゴ13では、額に着弾した際に「ビシッ」と擬音語がよく使われています。
確かに、レコードを踏みつけたら、そんな音がしそうですね。
これって、実際に作者の仕事場で、誰かがレコードを踏みつけたことがあったんじゃないでしょうか?
「ビシッ」
「おい、なんの音だ?」
「すいません、レコードを踏んじゃいました!」
「買ったばかりなんだぜ、気を付けてくれよな……。いや……、待てよ!」
「すいません、弁償します!」
「違うんだ、今の音、なにかに似てないか? どんな音だった?」
「え? 確か、ビシッって……。あ、それって!」
なんてやり取りがあったんじゃないか、と想像するとワクワクしますですよ!
ちなみに踏みつけられたレコードは、マイルス・デイヴィスの「死刑台のエレベータ」だったんじゃないかなあ。
そうだったら、ますますグッと来るんですが。
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