長期連載されている甘木少女マンガの最近のものを読んでみた
先日、長期連載されている少女マンガの95巻を読みました。このマンガは高校生のころに出会って、今でも大好きな作品です。耽美的な絵に落語の洒落を取り入れるなどハイブリッドな作風で、短編から長編までもれなく面白い、というマンガでした。最近は読んでいなかったのですが、職場で若い社員から「読みます?」ともらいうけました。
読んでみると……。
お話はどれも面白いのですが、何しろ絵がシンプルすぎます。もともとギャグシーケンスでは簡略な表現をすることも多い漫画家さんなのですが、簡略化というよりも記号化されたようです。
しかも絵の描き方が大きくて、登場人物の上半身や顔だけのコマが多く、主人公に至っては目だけ、というコマも少なくありません。まさか作者も老眼で細かい絵が書けなくなったのではないか、と心配になるですよ!
試しに手元にあった44巻と見比べてみると、まるでちがいます。コマの大きさは一緒でも、44巻では全身が描かれていることが多い。顔のアップ、目のクローズアップなどはところどころで演出効果として使われている感じです。
それに比べると95巻のシンプルさは、現代アートの趣すら感じさせます。
お話は十分に面白いのですが、マンガ的な表現が不足気味とでもいいましょうか……。
何しろぼくが高校生のころから連載されているマンガですからね。続いているだけ奇跡なのかもしれません。
古今亭志ん生が高座で居眠りをしたとき、客からは「寝かせておいてやろうじゃねえか」と声がかかったとか。
このマンガについても、往年の緻密な絵を望むのが無理なら、力を抜いて描いた絵の味わいを堪能しようじゃえねえか!
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