帰国子女の心理を考えてみた
「君色パレット・きらいなあの人」で一番おもしろかったのが、花里真希さんの「帰国子女」。
物語の核心は、『ダメだと思っても言ってみよう、声をあげよう』というものです。
カナダから日本に戻ってきた帰国子女である女子生徒が、あまりにもズバズバと自分の意見を述べるので周囲とぶつかる。
ときには校則や教師の考え方に対しても、堂々と異議を述べる。しかし学校という社会ではなかなか受け入れられるものではありません。
だからといって、諦めてしまってはいけない。
という内容なのですが、ぼくはちょっと変な感想を持ってしまったのですよ。
「カナダの学校には掃除当番なんてない」「カナダの学校には、髪の毛の色を取り締まる校則なんてない」
帰国子女はそういう発言をするのですが、日本の学校のおかしな点を指摘すると同時に、「カナダはよかった」という気分もあるのです。
要するに「かつて自分が所属していた組織や場所」に対する郷愁でもあります。
「カナダでは~」というのも、たとえば日本国内から転校してきた生徒でも「前の学校では~」という発言と同じこと。
あるいは大人でも、転職先で「前の会社ではこうしていた」なんて言ったり、時には「前の会社」の流儀を持ち込もうとしたり。
そういうとき、必ず周囲の人と軋轢を生じます。
「前の学校」も「前の会社」も「カナダ(に限らず外国など)」も過去のことなんだから、今の所属先に従うほうがヨイ場合も少なくありません。
もちろん新風を吹き込んで、現状を一新するというのも面白いことではありますが……、なかなかそうはいかないですよね。
転校してきた人も転職してきた人も、それを迎え入れた側の人達も、自分の慣れ親しんだスタイルがいいんですよ。
人間は、だいたい、ほぼ、もれなく保守的。
この記事へのコメント
海
「前の会社は~」なんて言う人は
やはり多いですね。それも上から目線ですから。
さすがにコマの枠外から意見はされませんが(笑)
私の会社で同じ業界から以前に転職してきた方が
おりまして、その方は「前の会社は~」なんて事を
まったく言いませんでした。
後日、何年もたってから、当時転職してきた時の
心境を聞いたら、その方曰く、「正直、前の会社のほうが
業務は数段レベルが高かったので、こりゃたいした事
ないな、楽できるぞ~」なんて思ったそうです(笑)
しろまめ
まさかの展開にずっこけそうになりました。
さすがは海くん!(当然、枠外から両肩に手を!)