野瀬栄進の講演と演奏を聴いてきました
小樽市民大学講座、最終日にあたる第五回はピアニストで作曲家の野瀬栄進氏で「アイデアはどこから来るのか」。2024年10月25日(金)18時30分から20時まで、お話とピアノ演奏を堪能しました。
野瀬氏はジャズピアニスト。ジャズをカテゴライズするのは無意味ですが、あえて区分すればフリージャズ派なのかな。しかしゴツい感じの外見とは裏腹に、繊細なタッチでロマンチックで美しい曲が印象に残りました。フリージャズというよりは、印象派のような音楽、かな?
ライブなどでも自作の曲を弾くことが多いので、古典的なジャズファン(の男性←特にオヤジ)から、「つまらん」とか「知っている曲を演れ」と文句を言われることも多いのだとか。
いい曲なんですけどねえ……。そういう客にあたった時は修行と思ってください、とここで申し添えておきましょう。
さて演題の「アイデアはどこから来るのか」ですが、結局のところ「人知の及ばぬ宇宙から降ってくる」というのが野瀬氏の結論でした。もちろん、降ってきたアイデアを受け止めるには、あらゆる努力と鍛錬が必要だけど、それにより磨かれるのはアイデアを受信するアンテナなのだとか。あるいは、守護霊のような存在があって、自分のためにアイデアを受信してくれるのだとか。アンテナの感度が磨かれるというのは、守護霊がより感度の高い守護霊に交代するのだとか。
うーむ、どうもスピリチュアル的な考え方が強い人なのかもしれません。瞑想とかヨガにも力を入れているようですし。
ぼくの感覚では、潜在意識下で常にいつもずーっと考えていることが形になる、という感じなんですけどね。
ただ彫刻家とか仏師は、自分が木や石を削って造形するのではなく、木や石の中にある形を掘り出すのだ、という言い方をします。仏像などは特にそうらしいです。材料に仏の形を刻むのではなく、材料の中におられる仏を掘り出すのだそうです。それを踏まえると、野瀬氏の言う「降ってきたアイデアを受け止めてくれる存在」というほうが発想の実態に近いのかもしれません。
他にも「締切は大事」とか「作曲をする際に余計なものが目に入らない場所が必要」、「先の音を聴く」など現実的だったり刺激的だったりする言葉が飛びだしてきました。
「先の音を聴く」というのは、1~2小節の短い音楽(フレーズの断片とか和音)から、それに続く音楽を想像することらしいのですが……。
ちょっと難しかったかも。
終演後にロビーでCDを手売りしていたので、一枚買ってきました。2016年に小樽マリンホールでの演奏を収録した『Heaven's Dream』です。
今回の講演も同じくマリンホールで行われました。
チラリとみたら、野瀬氏は手売りしながら『正』の字で販売枚数をチラシ兼CDカタログにつけていましたが、『Heaven's Dream』が一番売れていたようです。とは言い条、ぼくが買ったので5枚目。他のCDは1~2枚だったから、全部で10枚ちょっとかな。聴衆の財布の紐は固いな……。
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