ひみつのとっくん(工藤純子)

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主人公は体育が大きらいな男の子。かけっこ、とび箱、ボールなげ。ぜんぶ好きじゃない!

うん、わかるわかる! よーくわかるぞ!
ぼくも小中学校を通して、体育が大きらいでしたから。
走るのが遅くて、ボールを投げたり受けたりするのが苦手な子どもにとって、体育の時間は地獄であり拷問ですよ。
ここで、とび箱とマット運動をあげなかったのは、その系統は割と上手にできたから。
つまり、できないから嫌いだったんですよね。

さて、「ひみつのとっくん」の主人公に話を戻します。この子が一番苦手なのは、鉄棒のさかあがり。よくあるパターンですね。
この子ったら、校庭を行き交うアリの上に砂を落としていじめながら、「さかあがりをしなくてもいいなら、このアリの仲間になってもいい」とまで考えるほど鉄棒が嫌いらしい……。

ですが、この子のえらいところは、苦手なこと、きらいなことを克服しようと努力することです。
ぼくなんぞは、苦手なボール競技や走ることを克服しようと考えたりはしなかった。むしろ、「ボール投げなんて、なにが面白いのか?」「走るのが早くてどーするの? 飛脚にでもなるのか?」などと、苦手なスポーツを蔑んでいました。そうすることで、それらのスポーツの価値を貶めて、できない自分を正当化しようとしていたんですね。

なんてイヤなガキだったんだ、自分は!

「ひみつのとっくん」の主人公は、団地の公園にある鉄棒で、さかあがりの特訓を始めます。

詳細ははぶくけど、主人公がさかあがりで失敗したことを笑ったスポーツ万能少年や、憧れのマドンナ的少女にも苦手なことがあることがわかります。それで主人公の特訓にも熱が入り、ついには……。

あとは読んでのお楽しみ。

ちなみに。
体育が苦手で嫌いだったぼくも、なぜか鉄棒のさかあがりは得意でした。
還暦を過ぎても年に数回、さかあがりをしているのは以前にもブログ記事にしたとおりです。

「ねえ、キミ。さかあがりをするなら、腕が伸びないように、鉄棒から体が離れすぎないようにして……」
「おまわりさん、こいつが、鉄棒のまわりに現れる不審者です!」

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