喫茶店ドロシーでタルトとコーヒーをお供に読み始めました。
自他ともに認める「かわいいキャラ」の中1女子の菜摘には悩みがあります。
ひとつは、母親が菜摘をアイドルやモデルにしたくてオーディションに応募しまくること。
アイドルやモデルに憧れたことはあるけど、それはもっと幼かったころのこと。今はもっと好きなこと、やりたいことがある。
だけど、それを母親に言えないのでした。
悩みのもうひとつは、自分の作った「かわいいキャラ」のイメージに、自分自身が縛れられてしまっていること。
みんなが「かわいいキャラの菜摘」だけを評価しているような気がして、本当の自分を出せずにいます。
特に「かわいいキャラ」に似合わないであろう、鉄道が大好きということを誰にも言えずにいるのでした。
ところが新聞委員の仕事のために、クラスの地味な男子である羽ケ崎くんとクラウドのフォルダを共有したため、そこに保存された鉄道写真を見られてしまう。
「白石(菜摘の名字)さんって、鉄道好きなの?」と問いかけられたことから、ふたりの奇妙な関係が始まります。
羽ケ崎くんとの鉄道写真趣味を通じて、菜摘は少しずつ自分の心と向き合い変わっていきます。
その中で、今まで友人や家族を表面的にしか見ていなかった自分にも気づきます。
好きなもの正直でいたいという思いと、うわべだけしか見ていなかったことへの反省の両輪で進む成長ストーリー。
なるほど、モノが鉄道だけにレールが2本あります。車輪もふたつそろっていないといけませんね。
最近の若い子は「キャラ」ということを重視しすぎて、ともすれば「キャラ」に囚われ縛られてしまいがちです。
いやいやいや、「最近の若い子」ばかりではないのでしょう。
わたしたちは「年齢」や「性別」、「社会的地位」などに応じて「らしく」振る舞うことに慣れすぎています。
ときには自分を振り返って見ることが必要ですね。
その「振り返り」のためには、趣味や推しといった「好きなもの」を大切にする気持ちが大きな役割を果たしてくれそうです。
ところで表紙に描かれたのは、菜の花畑を走る小湊鉄道の車両です。
拡げたところもいいですね。
主人公の菜摘は、菜の花畑で写真を撮りまくるシーンからつけられたのかな?
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