よむよむかたる(朝倉かすみ)

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昨年(2024年)の10月ころ買ったのですが、途中で中断していたのを正月休みから再開。ついに読了しました。
少しくらいご無沙汰していても、ページを開けばそれまでの世界にそのまま入っていける、それが本のいいところですね。まあ、時は粗筋やら登場人物やら忘れている場合もあるけど……。そのくらいのことは気にしない。そんなことを気にしていたら、本なんて読めない!

もともとは小樽を舞台にしていることから興味を持ったのですが、読んでみたら小樽でなくても面白かったであろう作品でした。まあ、登場人物の小樽弁も面白さのひとつではありますが。

舞台は、住吉神社のそばの坂の途中にある喫茶店で本を読む会。本を読むだけではなく、読んでその感想を語り合う会です。
そこに集まるのは、元人気アナウンサーだった会長はじめ、いずれおとらぬひと癖ある後期高齢者たち。
その面倒をみるのは、読者から「(あなたの小説は)あなたひとりで書いたのですか?」という手紙が元で書けなくなくなった28歳の小説家、安田。

高齢者たちの読後感想は、それぞれの人生を反映して重みもあればピントが外れたりもして、毎回々々、混沌としながらも収束します。物語はやすだの視点で進むのですが、自分の想像の斜め上を行く展開に、面食らいながらも納得し、次第に読む会と読む会の面々が好きになっていきます。

きっと、この本を読んだあなたも、読む会とそのメンバーが好きになるでしょう。そして読む会が開かれている喫茶店も。
物語に登場する喫茶店は実在しないのが残念ですな。


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