三面怪人ダダについてのエッセイを読みたかったのです

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『ウルトラQ』『ウルトラマン』全67作撮影秘話:ヒロインの記憶(桜井浩子・青山通)を購入した理由のひとつは、青山通氏よる、ダダに対する恐怖感のエッセイを読みたかったからです。
ダダ、と言っても「ダダイズム」のダダではありません。ウルトラマン『人間標本5・6』に登場した三面怪人ダダ、です。

ダダは怖かった。本放送(1966年、ぼくは3~4歳)当時は観た記憶がなく、小学生なってからの再放送で観ました。貴族の子と見紛うような上品で気品あふれる生意気なガキでしたが、ダダは怖かった!
放送を観ていない人にもわかるように簡単に説明しますと……。

山奥にある甘木研究所を、宇宙から来た三面怪人ダダが占拠します。目的は、地球人を捕まえて人間標本を作ること。命からがら逃げてきた研究員のひとりが報告する形で描かれるダダが、本当に怖い。
大きな箱状の頭部を持ち顔は、全体に小さな穴がポツポツと空いている。黒目のない黄色い白目に、幅の広い口は口紅でかたどったようにくっきりしている。体は幾何学的な直線が渦を巻いたよう。

その異様な外見のダダが、「ダ・ダ」という言葉とも威嚇ともわからない音を出しながら、両手を前に突き出して、ゆっくり、ゆっくりと迫ってくるのです。
地球人としては怯えて逃げるのですが、ダダはテレポート能力を持つらしく、逃げようとした先にいきなり現れる。ドアを閉めても、ドアをすりぬけて追いかけてくる。
ダダはこうした特殊能力があるので、急ぐことなく、ゆっくりと追い詰めて来るのでしょうか。この、ゆっくりと、じわじわと迫ってくるのが実に怖い!
もしも3~4歳のころに、この放送を観ていたらトラウマになったでしょう。
それとも、3~4歳くらいでは、ダダの怖さは分からなかったかな?
怪獣が出てこないからつまらない、と思ったかもしれません。
もしかしたら、観たけど「怪獣が出てこないから」記憶に残ってないのかも。
だとしたら、幸運なことと言えましょう。

さて、青山通氏はぼくより2歳年長ということです。ですから本放送当時5~6歳。十分にダダの恐怖を堪能したそうです。
それでトラウマになり、小中学生くらいまで、ダダに襲われる悪夢を見たのだとか。

それが克服できたのは、近年、ダダの悲哀がネットで話題になってからだそうです。
どういうことかというと、ダダは確かに特殊能力を持っており、人間を追い詰める様も怖いのですが、戦闘力はたいしたことないと指摘されたのですね。
確かにウルトラマンには簡単にあしらわれています。顔に怪我をして、上司に対して通信機を通じて「ダメだ、ウルトラマンは強い」と泣きついている。
それどころか、生身の人間である科学特捜隊(怪獣や宇宙人から地球を守る組織)のムラマツ隊長にも負けています。
たぶん、地球人に負けた侵略的宇宙人は、ダダが最初で最後じゃないか。
しかも、そうした窮状を上司に訴えても、上司の対応はすげなくて、ひたすら任務の遂行を命じられます。

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そういう状況に苦しむダダの姿は、まるでブラック企業の下っ端サラリーマンのようだとネットで論じられているのですね。
一方的にただただ恐ろしかったダダが(なんか韻を踏んだようだけど違います)、組織や人間関係の理不尽さにさいなまれる地球人と変わらない。
そんな考察を目にして、青山氏もようやく長年の悪夢から解放されたそうです。

このエッセイを読むためだけでも、この本を買う価値はあります!


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