おおなわ跳びません(赤羽じゅんこ)

20250319onawanotjump.JPG

左足に軽度のハンディをもつ双葉が「おおなわ大会には出ない」と学級会で発言します。
おおなわとは、ふたりで回す長い縄跳びで、競技者が順番に入って跳び、その回数を競うもの。
この学校のルールでは、とちゅうで縄に引っかかる人がいて回転が止まっても、それまでの回数がリセットされたりはしません。なので足にハンディがある人でも、縄跳びがが苦手な人でも心配ない……とは言っても、引っかかて止まれば、その分跳べる時間は少なくなる。
クラスメイトに迷惑をかけたくない、クラス競技の足を引っ張りたくはない、という思いから「おおなわ大会にには出ない」なのですが、その発言の受け止めからは人それぞれ。

自分だって出たくないという人、迷惑だなんて思わないから一緒にやりたい人、本音では少しくらいは迷惑と思っている人、気持ちはわかるけどどうしたらいいのか分からない人。
勝ち負けは関係ないといいつつ、どうして学校は生徒たちを競わせるのか。やるからには優勝を目指すと勝つ気満々の先生もいるのはどういうことなのか。学校の矛盾や、子どもたちひとりひとりの気持ちを描いた作品です。

話し合いの結果、双葉も一緒に跳ぶことに決めますが、その気持ちを大切にするための最適解は?

表紙に描かれている、主人公である双葉の足に絡みついた長縄が印象的です。当然、双葉が感じている心の重荷を表現しているのですが、これが最終ページの挿絵でもまた効果的に使われています。
「たのもしい友人たち」のところへ行く双葉の足もとから、長縄は光にとけるように消えてなくなっていくのです。双葉の心が、足枷から解き放たれたことが伝わってきます。


この記事へのコメント