舘野泉ピアノ・リサイタル(朗読について)

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2025年5月11日の舘野泉ピアノ・リサイタル(札幌コンサートホールkitara小ホール)は朗読も面白かったのですよ。
前半の小泉八雲の怪談をモチーフにした作品の「振袖火事」ですが、美しい若侍に恋をした娘が恋わずらいで命を落とし、娘の振袖を着た娘も次々に死んでいくという怪談話。
どうして亡くなった娘の振袖が次々にほかの娘の手にわたるのかというと、振袖を寄進された寺の住職が転売したから。とんでもねえ坊主です!
四人の娘が亡くなってから「この振袖は呪われている」と気づいたらしいけど、遅いよ!!
しかも寺の使用人に焼却処分させたせいで、呪いの炎が広がり江戸の大半を焼き尽くす大火を招いたんだから、言語道断ですね。
せめて自分で焼いて、焼く時にお経をあげるくらいはしないといかんでしょう。こんな欲張りで鈍くて怠け者の坊主に愛用の振袖をないがしろにされたら、死んだ娘が祟るのも無理はありません。

ところで。
舘野泉氏が弾いた冒頭のフォルテシモは、若侍にひと目惚れした娘が心に受けた衝撃を表現していたのかな……?

「衝立の女」は、衝立に描かれた美しい娘に恋をした男の話。
アニメやマンガの美少女キャラクタにぞっこんで、現実の女性には興味がない男性を揶揄したりしますが。
なんだ、それって昔からあったんだねえ。

「忠五郎の話」は、女性に化けた物の怪に生気を奪われて死んでしまう話。よくある話ですが、物の怪の正体が蝦蟇蛙だというのがポイント。
だって本当は、鏡に映った自分の姿を見て当人が油汗をたらすくらいに醜い姿なんですから。
それに騙されて死んでしまったら、さすがに救いがなさすぎる……。

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