『ズッコケ三人組』の作者の手による少年たちの冒険物語。冒険物語は言っても、無人島に漂流するわけでもなく、タイムスリップもしないし、ドラゴンと戦ったりもしません。
冒険は、意外に身近にあるものです。
男の子なら、あるいは元男の子なら、タイトルを見ただけでわくわくして来ますね。男って、どうして秘密基地が好きなんでしょうか。
まあ最近では「男の子なら」とか「男って」と強調しすぎると、ジェンダーの認識を叱られちゃうのですけれども。
主人公の保は、普段ほとんど遊んだこともない省吾に誘われて、コンクリの土管の中に白い子猫を見せてもらいます。そのネコをシロと名付け、ふたりで協力して土管の中で育てるうちに子猫を抱いて寝てみたくなります。
家に連れて帰ることができない以上、一緒に寝るなら土管の中でしかない。ふたりはお互いの家に泊まると言って、土管の中で一泊します。
この土管の中で寝るというのは、昭和のマンガにもたびたび登場した憧れのシーンであります。
それをきっかけに、夏休みには山の中に自分たちで小屋を作って一泊してしまう。
小屋を作るまでの工程が細かくリアルに描かれ、夏の日差しの中で慣れない大工仕事(土木基礎工事含む)で少年たちが流す汗の輝きが目に見えるようです。
読み終わって、というか読んでいるときから、自分も手作りキャンプをしたくなりました。頽齢の紳士でさえ、そういうワイルドな心境になるのですから、対象年齢の小学生たちが読んだら居ても立ってもいられないのではないでしょうか。
ただし資材置き場の土管の中に寝たり、親を謀って子どもたちだけで山中で一泊するなど、現代のコンプライアンス的には少々首を傾げるところもありますが……。
そういう細かいことを言わせないベテランの手による重厚感のある筆致であります。素人には真似ができない、というか、ぼくなんぞは真似しちゃいけない。
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