つい先日も、そういう場面にでくわしました。ぼくが歩いている少し先で、おばあさんが小さな花束を取り落としてしまいました。かがむと膝が痛むのか、上体だけをかがめて取ろうと手を伸ばしているのですが、あと1センチ届いていません。おせっかいな紳士としては、近づいていって拾って差し上げたい場面です。ですが、こちらも若くはない。歩くのが遅いんですよ。と同時に、若干のためらいに似たものもありました。いくら日本人離れしたハンサムだとは言い条、やっぱり日本人です。多少の照れはありますから、行動する前に少しばかり決断する必要があります。
ところが、ぼくが歩み寄ろう、そのための決心をしようというほんの1~2秒の間に、おばあさんの花束問題は解決してしまいました。たぶん欧州系と思われる男性旅行者が近くのベンチに座っていたのですが、彼がさっと近づいて行って花束をひろったのですね。その行動の素早さ、速やかさ、自然さは見事なほどで、まるで自宅の窓を開け閉めするような何気なさでした。
前述しましたが、日本人の多くは、こういう場面で自然に動けないように思います。照れもあるし。それじゃあ欧米人は照れないのかというわけじゃなくて、きっと幼いころから教育なのでしょう。日本でも、乗り物では体の不自由な人や老人に席を譲ろうとか、困っている人がいたら声をかけて手伝ってあげましょう、という教育はあると思います。ですが、そういう教育はあくまでお題目であって、実際には機能していないことが多いんじゃないでしょうか。エッセイや小説を読んでいても、「席を譲ろうかと思ったけど勇気がでない」なんて描写がよくあります。推測ですが、おばあさんに花束をひろってあげた外国人男性は、勇気を出すまでもなく行動していたんじゃないでしょうか。
おばあさんの足元にかがんで、かがんだまま花束を手渡す姿はスマートで格好良かったです。それに対して、おばあさんは花束をとろうとして腰を曲げた状態のまま、手刀を切るようにしてお礼を言って去っていきましたです。
この記事へのコメント
海
たしかに外国人の方の他人に対する気遣いは
日本人とは違いますよね。なんの躊躇もないというか。
日本人は、どうしても「照れ」があったりして
前に出れないところがありますからね。
まあ、その「奥ゆかしさ」というのも日本人の
良い部分でもありますが。
おまけに、コロナ渦を経て、他人のモノを安易に
触らない(触ってはいけない)風潮がありますからね。
先日も、ハンカチを落とした女性に、サラリーマンが
「落としましたよ」と、拾わず、教えてあげてる光景を
見ました。
ちなみにそれに関する別件ですが、私の住むマンションには
昔から両親にしょっちゅう怒られてる男の子がおり、
よくお父さんやお母さんが息子に怒ってる声が聞こえてきます。
虐待でもなんでもなく、おまけにその男の子が
絶えず両親に怒られるような事を、しでかしてるみたいで
私としては微笑ましく思ってます(笑)
先日も家族でキャンプに行ってきたみたいで駐車場で
キャンプ用品を車から降ろしていたのですが、
お父さんがモノを落としたんですよね。
気づかずエレベーターホールのほうに来たら息子が
「ねえ、落としてるよ」って。そしたらお父さんが
「拾ってくれよ!!」って怒鳴ってました(笑)
しろまめ
コメントありがとうございます。
ああ、「奥ゆかしい」という表現がありましたね、忘れてた。おかしいな、奥ゆかしい紳士のはずなのに(笑)。
他人のものに安易に触らない、というのも「気にしすぎじゃないか?」と思う反面、勝手に触られてイヤな思いをすることもあるので、なかなかいい風潮かも。
もっとも、触ってほしくない奴に限って、気軽にさわってきたりするのですが(笑)。
お住まいのマンションの少年とご両親、あけすけに怒鳴ったり叱ったりできる親子関係はなかなかいいのかもしれません。昭和だよ、と言われそうな気もしますが、昭和のすべてが悪いわけではないでしょうし。
ところで、
・子どもは「落としてるよ」って指摘するだけ
・父親が「拾ってくれよ」と怒る
これって普段、
・父親(夫)「お鍋、煮立っているよ」「(洗濯物がほしてあるけど)雨だよ」という言うだけの態度に対して、
・母親(妻)「ガスを止めてよ!」「見てないで取りこんでよ!」と激怒されている構図のコピーかな。
でもって、夫はいくら叱られても改善しない(笑)。