話せないなら(電話に)出なければいいのに

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バスの中などで、他人の携帯電話の呼び出し音が鳴り響く。しかも、ぼくの前に座っているおじさんだよ。うるさいなあ……、呼び出し音が大きすぎません? と思いつつも舌打ちなんてお行儀の悪いことはしませんから、と最近は言えます。

さて呼び出し音が鳴った携帯電話の持ち主は通話ボタンを押して、小声でゴショゴショと話し始めます。聞くともなく耳に入ってくるのですが、
「今、バスの中なので、話せません。はい? ですから、今、バスの中中なので、話せません」
おじさんは、「バスの中なので話せない」と何度も繰り返しています。早く切ればいいのに、相手が食い下がっているのでしょうか。まあ相手が食い下がる気持ちもわからないでもありません。「バスの中」だとか「話せない」言いつつ、現実に電話に出ているワケですからね。「ひと言ふた事、いいじゃないか」と思うのが人情でしょう。すぐに終わる用事だから、はいかいいえで答えればいいんだから、みたいな感じで「すぐに済むから」とか言いつつ食い下がっているのかもしれません。

だから、最初から電話に出なければいいんですよ。
出ちゃうから、相手も食い下がりたくなる。ひと言でいいから確認したい、ひとつだけ答えてほしい。
その程度の要求にすら答えられないなら、電話に出ないほうがいい。もしかして出なかったら重大な損失があるのかもしれない。ことによっては、周囲の乗客らに平謝りしてでも話さなければいけないかもしれない。あるいはバスから飛び降りてでも、会話を続ける必要があるかもしれない。でも、そういうことって、ほぼないでしょ? 常に一分一秒を争う重大な判断を迫られている重要人物のつもりかもしれませんが、それほどの大物ならバスなんて乗るんじゃない。

電話には出ない。必要がありそうならメールかメッセージでも送っておきましょうよ。


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