バレエ『海賊』を観てきました

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小樽にある「直江博子創作バレエ研究所」は今年(2025年)で創立70年。奥さんの知り合いの関連で(詳細は省く)、その記念公演を観に行きました。演目はアドルフ・アダン『海賊』です。どういう筋か、興味のある方はご自分で調べてみてください(←不親切だなあ)。

公演を観るに先立ち、あらすじを確認したり、開演前にパンフレットを読むということは一切しませんでした。パンフレットを読むには会場の照明は暗すぎたのも一因です(老眼の貴公子にとっては)。まあ、観ればだいたいの筋はわかるだろう、筋はわからなくても踊りは楽しめるだろう、というくらいの軽い気持ちで構えていたのですよ。だってほら、外国の歌を聴いて、歌詞がわからなくても、いいなと思う曲はあるわけですし。そもそも歌詞のない曲だって多いわけですし、言語化されない表現を楽しもう。

そういうつもりでいても、ぼんやりみているだけで筋はわかりました。なにしろタイトルが『海賊』ですからね。たぶん登山の話ではないだろうし、衣装をみたところ日本の戦国時代でもないし、怪獣も出てこないことはわかります。しかし登山と戦国時代と怪獣の可能性を排除したところで、フランス革命や電球の発明話柄である可能性までは排除できません。

それでも筋がわかるのですから、バレエの表現力とはたいしたものです。あとでパンフレットを確かめたら、紹介されているあらすじと観たときのイメージとだいたいはあってましたから。まあ、細かい点では多少の相違があったのは仕方ありませんが。

それにしてもバレエの表現力とか舞台の表現力というのは面白いですね。セリフがなくとも、金持ちらしい豪奢な服装の男のまえで、調子のよさそうな男が両手を壺の形に動かすさまを見れば「魅力的な女性がいますよ」と言っているのだとわかります。
あるいは、どう見ても主役級の男女。その二人が舞台の中央ではなく袖に近いところでリフトなどの演技を決めていたのも、最初は「なんで、そんなすみっこで?」と思ったのですが。人目を忍んでいる、あるいは街の片隅で偶然に出会ったなどの表現ではないか、と気づきました。違うのかもしれませんが、そう見えて楽しめたらいいの。

小説だって、読者の自由な感想で楽しめたらいいのです。有名どころを例にとるなら『走れメロス』。あれは軽々しく約束をすると後でひどい目にあう、というお話。あるいは途中で何があるかわからないのだから、旅のスケジュールには余裕を見ておきなさいという教訓。そういう観点で読書感想文を書いても、なんの不都合もありません。担当の先生が頭の固い人だと、怒られるかもしれませんが。

この記事へのコメント

  • しろまめさん、どうもです。
    「走れメロス」の感想文の件、
    最高ですね!(笑)
    たしかに軽々しく約束なんて
    するもんじゃありません!
    中学生の時に、「走れメロス」を題材にして
    友人たちとパロディ小説をこしらえたりして
    遊びましたね~。
    「君を疑ったから俺を殴れ」
    「てめ~疑いやがったのか!!」
    なんて感じで、ラストはドタバタみたいな(笑)
    ちなみに、今流行りのAIに尋ねてみると、
    「人間の内面や他者との関係性を深く問いかける物語」
    との事(笑)
    それよりも、「メロスが走り切って友人と殴り合う物語」
    のほうがグッときます(笑)
    2025年09月30日 22:27
  • しろまめ

    海 さん>>
    コメントありがとうございます。

    メロスはネタにされやすい小説ですよね。誰もが知っているからネタにもなるのです。
    ぼくがパロディ化するなら、ラストシーンですね。
    どうやら衣服がぜんぶ敗れたり脱げたりして丸裸のメロス。
    少女から着物を供されて、セリヌンティウスに指摘されて「勇者はひどく赤面した」のですが、わざとらしく裸のまま……(笑)。

    2025年10月02日 13:10