チープ・トリックの思い出~マイキッスレコーダウトとかアレンジとか

band.jpg

ツイッタ(今は正しくは「X(エックス)」だとは知っていて書いてる)を眺めていたら、「チープ・トリックのライブに行ってきた」というツイート(今は正しくは「X」以下略)が流れてきました。「チープ・トリック、まだ活動しているんだ!」と軽い驚きと懐かしさに頬が緩みませつつ、チープ・トリックとの出会いを思い出していました。

チープ・トリックを知ったのは、高校1年生の秋……いや、冬かな。下宿の先輩がFM放送で流れた「ライブ・アット・武道館」を聴かせてくれて、素直に「カッコいいな」と思ったのです。思えば、あれがロックの聴き始めでした。兄がかけていたビートルズのレコードは自分から聴いたわけではありませんし。文化祭で中学生が演奏した『スモーク・オン・ザ・ウォーター』は騒音でしかなかったし。

しばらくの間、テープtoテープでダビングしてもらったコピー音源で聴いていましたが、冬休みにカセットで正規版を買いました。昔はレコードのほかに、カセットテープ音源でも売られていたんですよ。オープニング曲は『ハロー・ゼア』、ラストは『グッドナイト』だったかな。この2つは同じ曲で、『ハロー・ゼア、レディズアンジェントメーン』で始まるか、『グッナイ・ナウ、レディズアンジェントメーン』で始まるかの違いです。その間に『甘い罠』『ニード・ユア・ラヴ』『サレンダー』などがはさまっていた。ほかにも1~2曲はあったかな。

それにしても、どうしてレコードで買わなかったのか?なぜなら当時は下宿生、狭い部屋にレコードプレイヤなんておけません。どうしたってカセットテープにダビングしなければいけなかった。そもそも当時は、レコードは原本として保存しておいて、カセットテープにコピーしたものを聴くのが常識だった。なぜならレコードをかけると溝が摩耗するから。CDやデジタル音源しか知らない人には理解できないでしょうねえ。コピーしたカセットテープですら、テープが伸びて音程が狂ったりもしたらしい、あまり聴き込み過ぎると。

カセットテープの耐久性はさておき、なにしろレコード一枚、45分くらいのライブ版ですから、あっと言うまですけどね。なにしろほかに聴くものを知らないので、こればかり聴いていたんですよ。だから、歌詞も結構覚えています。

「アイウォーンチュートゥウォンツミー、アイニーデューユートゥニーミー(中略)、ディンナイディンナイディンナイシーユクライミ?」
「ニード・ユア・ラヴ、ニード・ユア・ラヴ、ニード・ユア・ラヴ、フェイルアパートフロムユアハート、ニード・ユア・ラヴ~」
「マザートルミーイエシトールミー(忘れた)ネバーノウホワッチューゲッ(中略)マイキッスレコーダウト」

いや、これは「結構覚えている」とは言えないレベルでしたね(笑)。

「マザートルミー」は、『サレンダー』の冒頭の歌詞です。
「ママが言ったのさ、うっかり女の子には近づくなって。どんな娘だかわかりゃしないって」みたいな訳詞だったかな。色気づいた息子に注意を与える母親ですが、そういう注意をするところを見ると、母親自身が若い頃は「どんな娘」だったのか想像がつくというものです。
「マイキッスレコーダウト」は、「マイ・キッス・レコード・アウト」だったはず。この訳詞は、ライブ盤とスタジオ盤とで違っています。訳した人が違っていたのでしょう。直前の歌詞は「パパとママが抱き合って転がりまわっている」的な内容でした。それに続くのは「ぼくのキッスのレコードを引っ張り出して」もしくは「ぼくのキッスのレコードを放りだして(ターンテーブルから外して?)」と違った訳でした。どっちがライブ盤の訳詞かスタジオ盤の訳詞か忘れましたけど。

英文そのものがかなりくだけた口語みたいで、先輩とふたりでいくら考えても正確な訳はわかりませんでしたね。ビートルズの歌詞はかなりしっかりした英文でしたので、その落差も大きかった。

先輩の意見では「キッスのレコードをターンテーブルから取りだした」が正しそうということでした。その根拠は、「大人がヘヴィメタルのキッスを聴くはずがない」で、なかなか説得力があります。確かに、チープ・トリックに登場する若者を自分たちと同世代とすれば、自分の親がキッスを聴くはずはないですからね。なるほど、なるほど。だけど、それは日本人の感覚です。アメリカだと話が違うんじゃないか、とも思いましたが、それは後から思いついたんだったかな。

そんなことを思いながら、ツイッタ(今は正しくは以下略)にツイート(以下略)されたセットリストを見たら。
『ライブ・アット・武道館』で演奏された曲は、すべて入っていたし、曲順もほぼほぼ同じでした。いやあ、集まったファン(推定年齢50~70歳)が狂喜乱舞する様子が目に浮かぶようです。

ところで『サレンダー』は、ライブ盤ではオルガンも入った豪華なアレンジで重厚感すら漂うサウンドだったのに。
後に発売されたスタジオバージョンでは、ライブ盤でオルガンが奏でたフレーズが、単なるギターのストロークに変わっており、しかもテンポも心持ち早くなって、ずいぶんと軽い印象の曲に成り果てており、かなりガッカリした記憶があります。

今回のライブはどうだったのかな~?



この記事へのコメント

  • しろまめさん、どうもです。
    チープ・トリックの武道館ライブ盤は
    傑作とよべる1枚ですね。
    アメリカでは無名に近いバンドが
    なぜか日本では大人気(笑)
    もともとは日本のファンに対する
    感謝を込めた企画盤だったけど
    評判が良くて本国でも発売し大ヒット。
    ボブ・ディランのライブ盤「武道館」と共に
    世界に日本の武道館の広めました。
    チープ・トリックって、コミカルな印象も
    ありますよね。イケメンのメンバー2人は
    バイクにまたがって2人でジャケットを
    飾ってて、ブサイク2人は自転車にまたがってて
    ジャケットの裏面だったり(笑)

    ところで武道館といえば、やはりビートルズですよね。
    再結成して、もうすぐ日本に来るオアシスも
    過去に武道館でライブをした時に、
    「ビートルズが立った舞台に俺は今立ってるんだ」と
    グッときたそうです(笑)
    2025年10月05日 07:25
  • しろまめ

    海 さん>>
    コメントありがとうございます。
    イケメンコンビとコミックコンビのジャケットは、『蒼ざめたハイウエイ』でしたっけ?
    似たような構図で、イケメンは髪を溶かしているのに、コミックサイドは歯を磨いていたりとか(笑)。
    『ライブ・アット・武道館』が本国に逆輸入されるようにして人気が出た、というのも面白いものですね。日本市場がアメリカンロックに影響力を持ち始めたきっかけ、なのかどうか。

    ぼく自身は、すぐに興味がプログレに移り、その後はジャズ・フュージョンとドゥービー・ブラザーズ、そして最近ではビートルズとチープ・トリックを離れました。『武道館』後に発売されたアルバム(『ドリーム・ポリス』だったかな?)にも、それほど感じず……。
    動画サイトで当時の音源を聴いてみたけど、「ああ、こういうのね」という程度で、要するに懐メロなんだな、としか思えなかった……。若い頃の自分は、もういない。

    2025年10月05日 18:07