青春少年マガジン1978〜1983(小林まこと)

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『1・2の三四郎』や『What's Michael?』で知られる漫画家・小林まことのデビュー当時の裏話的作品。小林まことは短髪でひげ面で細い目をした強面なのですが、本作では「作品のクオリティを重視して」長髪に垂れ目という甘いマスクの優男風に描かれております。自画像の嘘つき具合からして面白い!

少年マガジン編集部から50周年記念でデビューの頃の「楽しい思い出話」を依頼されたのが本作ですが、作者は「楽しい思い出などない」と拒絶。「編集部に殺されかけた」と恨み節まで炸裂させて、その後、どうやって執筆までこぎつけたのか。

おそらくは編集部から「新人3バカトリオ」の称号を賜った親友でもあった小野新二(『純のスマッシュ』や『OH!タカラヅカ』作者)や大和田夏希(『タフネス大地』や『青の時代』の作者・大和田守名義で小学館の学年誌に『ミクロイドS』なども執筆)への思いがあったのだと思います。小林よりは5~6歳年長のふたりですが、少年マガジンでは同期デビューということで本当に仲が良かったらしい。しかし大和田夏希はメンタル不調で連載を中断。数年後に復帰を果たすものの1994年に自死。小野新ニも翌年、肝臓の病で死去。

小林自身も「殺されかけた」と言うだけあって、週刊誌と月刊誌との連載に忙殺され、睡眠時間が週に8時間(平均ではなく、一週間に8時間しか寝ていない!)という殺人的スケジュールのために死にかけています。そうした自分の経験と早逝した二人の漫画家への思いが、描かせたのが『青春少年マガジン1978~1983』なのだと思います。

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