机上の会社学(酒井順子)

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ぼくはこの本で、筆者の酒井順子を知りました。確か、1991年の発売直後だったと思います。今の勤務先(定年退職後も再雇用で勤務中)に転職したころでした。ふと思い出して読みたくなったのですが、どこに行ったのか分かりません。書店で取り寄せようにも、すでに絶版。仕方ないので、やむを得ず図書館で借りて再読しました。

本書で描かれているのは、主に首都圏の一流企業のサラリーマンたちです。なにしろ大手広告代理店勤務で観察された事例ですから。ただし一流企業だからと言って、そこで働いている人間、関わっている人間が素晴らしいかというと、必ずしもそうではありません。電話について書かれた章では、自分の名前も名乗らずに「◎◎くん、いる?」と突然切り出す無礼者に憤慨していますし、英語について書かれた章では、日本語で言えばいいのに、わざわざ英語(というかカタカナ語)に置き換えた意味不明の言葉飛び交う会議にうんざりしたりしています。こうした人間の性みたいなものは、その人が入っている箱、つまり勤務先の規模とは無関係らしいですね。

電話の章では、新入社員も職場に慣れて来ると私用電話が増えて、離席している間に溜まった伝言メモは、ほとんど友人からだったという楽しいエピソードが紹介されています。こうした私用電話は、二十一世紀も四半分を過ぎようとしている2025年では考えられないことです。わざわざ会社の電話を使わなくとも、自分の電話を持ち込んでいる訳ですし、そもそも通話ではなくメッセージアプリなどでやり取りしていますからねえ。こういう風に、時代が変わって、風俗風習小道具がすっかり変わったことを楽しめます。

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