阿房列車の端々に楽しみや発見や学びがある2

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内田百間(←正しい字は門構えに「月」)の『阿房列車』を再読していますが、心に染みる箇所が盛りだくさんです。

『雪中新潟阿房列車』では、百間先生の幼き日の鉄道列車の思い出が語られます。当時の客車には電気照明設備がなかったそうです。そういえば、そうかもとも思いますが、言われないと気が付かないことです。
とは言い条、たとえばトンネルに入るときに車内が真っ暗というのは都合が悪い。それで客車の屋根に係員があがり、上からランプを差し入れたそうです。しかし、そうしたサァヴィスは一等など上等の客車に限ったことで、下等の客車用にはマッチを売っていたそうです。トンネル内で暗さに耐えきれないときは、マッチを擦って明かりを灯していたらしい。ほんの手元が明るくなるばかりだったと思いますが、そこだけ明るいのは心丈夫でもあり、恐ろしいようでもあったとか。

う~ん。世間の隅々までに照明をあてている現代社会からは想像がつかない状況ですね。キャンプに行くとかでもないと、なかなか暗闇なんて味わえないでは? と書いたそばから、今どきはキャンプ場だって照明装置が完備され、それどころかオール電化の調理器具からシャワー完備、Wi-Fiだってあるんじゃないか。

もちろん『阿房列車』が書かれた時点で、トンネル内では真っ暗なんて昔話になってはいます。しかし実体験のある人の口から語られるのと、それを伝え聞いた人が話すのとではだいぶ違う。戦争や震災体験など過去の重要な出来事を語り継ぐことの大切さは、すでに社会の共通認識としてあるでしょう。それと同時に、昔の人々の暮らしをもっと知ること、今と比べてたいそう不便だったり我慢をしていたことを学ぶべきだと思います。

『阿房列車』なら、楽しみながら学べます。鉄道好きなら言うまでもなく、鉄道に興味がなくても楽しめますから。


この記事へのコメント

  • しろまめさん、どうもです。
    作者も書名も昔から知ってましたが
    恥ずかしながら未読でした。
    調べてみると、単純に鉄道に乗る事が好きで、
    遠くまで行って、何もせずそのまま引き返したり、
    なんて事もあったようですね。
    いわゆる、「乗り鉄」の走り、なんて。
    実は私も似てる部分があり、基本的に電車に
    乗ってるのが好きで、観光とかしないし、
    土地の名物とかにも興味がなく、ホテルで
    コンビニ弁当を食べたりします(笑)
    この本、非常に興味がありますので
    早速チェックします!
    2025年12月19日 12:27
  • しろまめ

    海 さん>>
    コメントありがとうございます。
    百間先生は、まさに乗り鉄の走りですね。

    ただ、現地に着到すると、現地の鉄道関係者や教え子たち(とは言っても、いい親父ですが)が催してくれる宴会もお楽しみです。
    宴会がなくとも、同行のヒマラヤ山系氏とも毎晩飲んでいるので、そこは少しだけ違うかも。

    原作はもちろんいいのですが、マンガ版ですと、百間先生の「ここぞ!」という味わい深い文章を抜き出して絵に添えてくれるのがいいですね。

    暗い窓の外を見ながら、「嘘でもいいから、あそこを夜汽車が走ればいいのに」と幻の風景に恋い焦がれるところなんて、本当にグッと来ますよ!

    2025年12月19日 15:34