カフェと日本人(高井尚之)

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この本は、いつもコメントをくださる海さんが書かれた記事を読んで買いました。海さん同様、非常に面白かったという感想です。
明示のカフェーに始まる喫茶店の歴史や、スターバックスの一人勝ちのようなカフェ市場に関する考察、美人喫茶とメイドカフェとのつながりなど読むところがありすぎて、「お腹いっぱい!」ですらあります(笑)。
特に興味深かったのが、「第三章 なぜ名古屋人は喫茶好きなのか」です。筆者が当地の出身というだけあって、詳細な考察がなされています。なかでもとりわけ驚いたのが、「名古屋の人は喫茶店を自宅の一部のように利用する」という点です。一般に(あくまで名古屋以外の地域で)喫茶店というのは、外出先でコーヒーを飲んで休憩したり、人と待ち合わせをするのに使ったりするものです。ところが名古屋の人は、知人が家に来ると「喫茶店に行こまい」と誘い出すのだとか。これは別に家に人をあげたくないわけではなく、喫茶店を自宅の応接室と考えているらしいのですね。

ちなみに「行こまい」とは、「行こうよ」という意味の名古屋弁。英語のレッツゴーにあたるのかな。標準語で砕けた言い方を探すと「行こうぜ」かな。北海道弁で言うなら「行くべや」か。
若い頃、名古屋に本社がある会社に勤めていたのですが、先輩社員が名古屋の人でした。昼食の際に「ご飯食べに行こまい」と誘われたのを思い出します。その会社は潰れてしまったけど、先輩はどうしていることか。生きていれば、もう齢七十を超えているころでしょう。

「喫茶店が応接室感覚」と「齢七十を超え」で思い出したのが、2019年の名古屋旅行で訪れた支留比亜珈琲店徳川本店です。ヤンキーっぽい店名と内装でしたが、それ以上に印象に残っているが老人の二人客。買ったばかりと思しきCDをケースから取り出して、何やら楽しそうに話をしている様子は、まさに「喫茶店を自宅の一部・応接室」として使っている感じでした。
「CDを買ってきたがや」
「なら、支留比亜に行こまい」
そんな会話を玄関で交わした二人の好々爺が連れ立って店に向かう姿が目に浮かぶようです。

オシャレな喫茶店やカフェで写真映えするスィーツを撮るのもいいですが、部屋着のままふらりと出かけて何部ものスポーツ新聞に目を通し(同書による)つつコーヒーを飲んで来るというのも味わい深いですね。

この記事へのコメント

  • しろまめさん、どうもです。
    名古屋の方が喫茶店を自室の応接間のように
    使うという件、私もグッときました。
    それぐらい身近というか、生活に密着しており、
    別の言い方をすれば、応接間代わりに使おうと
    思うぐらい喫茶店との距離の近さに対し
    羨ましく思いますね。
    たしかに喫茶店は商談の場でもあり、
    勉強する場所でもあり、読書する場所でもある。
    とくに外回りの営業の合間に、ちょっと一息、
    なんて時は本当にホッとします。
    あ~、無性に喫茶店に行きたくなってきました。
    もちろん、場所は「喫茶ドロシー」です!(笑)
    2026年01月29日 21:34
  • しろまめ

    海 さん>>
    コメントありがとうございます。
    心理的にも地理的にも、自宅と喫茶店が近いのでしょうね。
    いくら気楽に使いたくても、片道500メートル、しかも喫茶店は坂の上、じゃあ足が遠のきます。
    まあ、小樽には「坂の上」とか「坂の途中」なんていう喫茶店がありますが(笑)。

    喫茶ドロシーも、そちらからはかなり遠いですぜ……。
    2026年01月30日 23:06