児童文芸2026年春号~幼年童話と絵本

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児童文芸家協会の機関誌『児童文芸』2026年春号です。ぼくは児童文芸家協会ではなく、児童文学者協会なので(←まるで間違い探しのようだが)、機関誌は読みたいときに個別に購入しています。今回は、林けんじろうさんの連載『あい・あむ・あふれいど』が始まったので買いました。面白いです!

春号の特集は「幼年童話の世界」ですが、山本省三先生が「幼年童話と絵本の違い」について論考されています。詳しくは、本誌を御覧ください。ここでは、ぼくが感じた「絵本」についてだけ書きます。

絵本と幼年童話、あるいは童話と絵本、絵本と児童文学は、なにがどう違うのか? おそらく定義を細かくすればするほど明確な線引は難しくなるでしょう。動物と植物の区別、チョウチョと蛾の区別みたいなものです。ですが、児童文学であれ童話であれ絵本であれ、子どもの読むものを書いている人間、書こうとしている人間なら、なんとなくでも区別できているのではないかしら? 感覚的に、というのか、肌感覚というのか。ハードロックとヘヴィメタルとを嗅ぎ分けるように。ジャズとフュージョンの曖昧な境界線を、無意識的にでも引けるように。

これが、ふだん子どもの本とあまりかかわりのない方になると、様子が違ってきます。ぼくの観察したところでは、「子どもの本=絵本」という認識なんですね。
実際、ぼくの本『ぼくがぼくに変身する方法』が出版されたとき、高校時代の同級生たちがSNSで話題にしてくれました。
「同期のハンサムくん(←仮ニックネーム)が、絵本を出しました」と。
まあ「絵本じゃないんだよな~」と思いながらも、お礼を言いましたけど。
ほかの作家さんの本でも、「友達が絵本を出した」などという発信が見られます。「それは絵本ではないだろう」と思いつつも、「いいね」を押す自分。

絵本と言われることに、不満があるわけではありません。
しかし「絵本を出した」と言われると、なにか居心地が悪い。それは出版されたのが「絵本」でないからです。絵本を出した、なんて言われたら、絵のうまい人みたいじゃないですか! ぼくの書く文字は「ミミズが断末魔に這い回った」ような悪筆ですが、ぼくが描く絵も、それに負けず劣らずですよ。友達の顔を描いたら、ミミズがのたうち回ったあとみたいでしたからね。絵本を出版するようなスキルはありません。ですから「絵本を出した」と言われることは、詐欺を働いてるのがバレやしないかとヒヤヒヤしているような居心地の悪さなんですよ。

これというのも「絵本」ほど、「児童書」という言葉が一般世間には浸透していないからかもしれません。ジドウショよりも、エホンのほうが言いやすいですし。

「きみ、小説を出したんだって?」
「違います、エッセイ集ですよ」
「コラムみたいなものか?」
「違います、随筆っていうか……」
「ああ、日記?」
「違うんですよ。エッセイっていうのか、日常のことを綴ったり……」
「ああ、ブログか。ツイッターだっけ?」
「違いますってば」
「そうか、今はエックスっていうんだよね」
「そうじゃなくて」
「ちがうの? そうか、フェースブックだ!」
「もういいです」
「いいなあ。ネットに書きこみしたものを印刷して本にしたんだから、儲かるでしょ?」
「だと、いいですね」

この記事へのコメント

  • しろまめさん、どうもです。
    いや~、申し訳ありません。
    実は長年気になっていた事がありまして。
    東京駅で、しろまめさん御夫婦とお会いして
    お茶をさせていただいた時に、私がしろまめさんの
    出した本の事を、「絵本」と言った時、
    しろまめさんが「絵本ではないんですけどね」と
    苦笑いされたのですよ。
    「あ~、しまった!」と思いつつ、どうしていいかわからず、
    アワアワしつつ、時間だけが過ぎていきました・・・。
    マニアックなところでいうと、絵本を含む児童書と
    一般書籍の違いは、とにかく児童書は信じられないぐらい
    お金をかけて本自体を頑丈に作ってる、みたいな事を
    聞いた事があります。子供が乱暴に扱っても破れない、
    みたいな。たしかに、「うちの子がボロボロにしちゃってる
    けど、よかったら読みますか?」と、幼少の頃に
    絵本を知り合いからたくさん貰いましたが、たしかに
    ボロボロだけど、まだまだ現役というか、絵本としての
    体裁を保ってるので驚きました。
    最後に、個人的に一般小説とジュニア小説の違いは、
    決して読者の年齢を限定してるのではなく、
    ジュニア小説の世界には「悪意がない」という事。
    幼少期に誰もが通る、アンパンマンもそうですね。
    バイキンマンの事を、作者の、やなせたかし先生は
    「悪い人ではなく悪い役をやってくれてる人」と
    仰っておりました(笑)
    2026年04月24日 07:37
  • しろまめ

    海 さん>>
    コメントありがとうございます。
    あ~、絵本の件、口に出しちゃってましたか。失礼致しました。

    それにしても、
    「悪い人ではなく悪い役をやってくれてる人」、グッと来ますね。
    心の中で「師」とあおぐ作家さんの、ある作品の登場人物について、
    「やなやつですよね~」と言ったら、
    「……彼にも事情があるんですよ」と言われて、大いに冷や汗をかきました。

    「やなやつですよね~」は、『まんが道』に登場する武藤とかですよね。
    日上は事情を抱えているから。
    ……でも、武藤にもなにかの事情が……?
    2026年04月24日 21:40